不死身のF.L.ライト

 学生時代、ボランティア熱中などの理由から、当時、日本のF.L.ライト研究第一人者であった教授の講義を受講しなかった。
当時は建築家の道を歩むとは夢にも思っていなかったためなのだが、今思うと、もったいないチャンスだったかもしれない。

 彼の作品に触れたのはその7年後、愛知県明治村に移築されている帝国ホテル(中央玄関ロビー)においてである。
 明治村は明治以降の様々な建築が移築されており、帝国ホテルは一番奥にある。順番にみて最後に帝国ホテルをみると・・それまでみてきた建築が吹っ飛ぶ。
F.L.ライトの建築のすごさをまざまざと感じることになる。

 彼が天才であることは疑いもなく、19世紀から3世紀にかけ世界中の建築に影響を与え続けている。
時折、彼の話を永延と話す建築家にお会いすることがあり、その信者は少なくない。


 しかしその真似をした建物はどこかお粗末な感じがし、普通の才能では彼のデザインの域に達することは困難だ。それは彼が天才であるがゆえであろう。

 そんなことから彼の作品集全巻を集めたのだが、自らの建築に取り入れることは封印している。


 注目すべきは彼の驚くべきタフさ加減である。


 F.L.ライトは92歳の誕生日直前になくなった。その時彼の孫は「180cmの体が小さく見えた」と話しているが、実際に彼は170cmまでなく背伸びして174cmだったという。
また、生涯2歳、歳を若く言い続け、同じ年齢の妹が困ったなどなど・・彼は親族に対しても芝居がかった人物像を作りあげていたようだ。
 
 醜聞、殺人、火事、度重ねる離婚、破産、FBIからの追跡などのピンチから彼はよみがえり、生き残る。
F.L.ライトの映画内で彼は「自分は不死身である」といっているが、まさしくその通りだと思う。

 彼のタフさは彼の建築と同じようにすごい!

 ストレスで胃腸の具合がよくない昨今、改めてF.L.ライトを学ばなければと思った。
「僕の身長は180cmだった」と、娘にメールでもしてみようか・・・。