建築道(みち)4・・運転免許取得の試練

 話はやや戻り大学1年夏休み、彼に試練が訪れた。

 夜汽車格安周遊券を使い、1週間の予定で函館・札幌で合宿を行った。宿泊は1泊だけ民宿に泊まりそれ以外はテントと夜汽車だった。クタクタになり帰宅、中断していた5カ月前に仮免許を取った自動車学校に復帰した。

 ところがトンデモナイ事が判明した。「仮免許有効期間が6カ月」で有効期限は9月末までの予定。それまで路上講習を3時限受けていたので、あと7時限受け確認をもらえれば、実技の最終テストが受けられる予定だった(当時の2段階は10時限だった)。しかしいざ復帰すると想定外の状況に直面。自動車学校には6カ月卒業規定があり、それまで受けた講習が6カ月を過ぎた順に無効になる・・という恐ろしい事実が判明した。それを知った時、親戚教官に親と共に挨拶に行った時の様子が走馬灯のように流れた。このままでは自動車免許取得できない絶対絶命のピンチとなる・・挨拶まで行って。

 このピンチを乗り越えるには自動車運転免許「一発試験」しかなかった。大きな問題がある。それは、この街にそれを受ける運転免許試験場がなく、家から60km程も離れた県庁所在地にある免許試験場に、朝の8時に到着しなければならないことだ。付け加えると当時新幹線は走ってない。この街の駅から運転免許試験場まで乗り換えと徒歩で2時間かかり、朝6時の電車に乗る必要がある。問題は自宅から駅までの12kmをどうするかだ。そんなに早くバスは走ってない。当日に自宅を出発しての一発試験受験は不可能に近い。さらに一発試験の合格率は10%未満。仮免6カ月期限まで1か月。交通費、試験費用をどうするか。自分のプライドにおいて、家人に相談は出来ない。先ずはそのことは内緒でして、兄に頼んで路上運転の練習をした。

 彼の免許証には8月31日に原付免許取得、そして9月21日普通免許取得となっている。それは初めて一発試験に行った日は電車が遅れ試験申し込みが間に合わず、原付免許を受験したからだ。原付免許試験申し込みは30分遅く「せっかく来たのだから・・」と受験した。その後も一発試験の苦難は続いた。ある時は姉の家、友の家に、そして駅待合室に泊まりながら一発試験を受け続けた。7回目はもう一歩だったが、コース終了間近で踏切停止ラインを5cm出てしまい「はい!そこまで」となり、燃えるような夕日の下で肩を落とした。しかし、8回目受験で自動車免許一発試験合格したのが9月21日だった。その瞬間は忘れようもない。そのことで彼は「よく調査して決断」との教訓を学び、絶対絶命をすんでの所で乗り越えた。

 自動車学校はそれほど熱心ではなかったが、いざ免許を取ると車が欲しくなり、1か月後には中古軽自動車を手に入れた。それまでバスの乗り継ぎなどで1時間以上かかった通学が、15分で行ける様になるなど、彼の行動範囲は飛躍的に広がった。彼は苦労しての運転免許取得だったので、いまでも安全運転に心がけている事は言うまでもない。

中国 福建土楼

 写真は福建土楼で別名・客家土楼(はっかどろう)。13年前行った時の写真ですが、その時福建省を走るバイクのほとんどが電動バイクで驚きました。当時は電動バイクに家族で3人、4人乗りする姿も見かけました。尚、写真と文章はほとんど関連なく、しいて言えば「福建省を走る電動バイク」と「運転免許証」くらいのものです。