大工の冥利(みょうり)と槍鉋(やりかんな)

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 昨日、宮大工棟梁・菊池恭二氏の講演会に出席。演題は「大工の冥利」。

 彼は岩手県遠野市在住、平成18年度卓越技能者「現代の名工」に選ばれており、昨年NHKプロフェッショナル仕事の流儀でも紹介されている。

 16歳で大工弟子入り、21歳で法隆寺金堂棟梁・故西岡常一氏に弟子入り、6年後遠野で社寺専門の大工として独立、これまでに建立・修復した寺社は80を超えるそうである。

 NHKプロフェッショナル内で茂木氏が・・菊池棟梁は「巨きな」人だった。体つきだけではない。精神の構えや、すべてが巨きい・・と言っていたが、僕も同じように感じた。

 時折り、岩手弁がまじり、けっして話がうまい訳ではない。しかし彼の人間にグイグイ惹かれる。
彼は「大工の冥利(みょうり)」について、具体的にこれという話をしなかったが、きっと彼の大工の冥利は人間性・懐の大きさを築きあげたところにあるのではないかと思った。

 講演の中で槍鉋(やりかんな)の実演を行う。
槍鉋は鉋(かんな)が発明される前の道具で、室町時代あたりまで使われていたという。
菊池棟梁実演の後、一般の大工さんが使ってみたがうまくいかなかった。
彼の「最初はみんなそうですよ・・」と言った言葉が耳に残った。

 一方、古い大工道具の中に釿(チョウナ)がある。
僕は時々、柱や梁に釿(チョウナ)仕上げのデザインをし、大工さんを困らせることがあるが、今度は槍鉋(やりかんな)削り仕上げを挑戦してみようかとひそかに思ってしまった。

 ・・福島ではこの冬初めて本格的雪が降っている。寒い。。