戦場カメラマンのカメラ

 3・4年位前、家電屋で「一眼レフカメラは何故こんなに価格差が大きいのか」を聞いた。店員さんは「普通の一眼レフはハーフサイズですが、こちらのカメラはフルサイズのため金額が張ります。まあ、フルサイズカメラは報道カメラマンとかプロの方が使うんで、普通の方はこちらのハーフで十分ですよ」などと言う。なんの話かは良く分からなかったが、僕はプロ仕様のカメラと言うことに反応してしまった。
 
 それまでフルサイズなど知るよしもなく、一眼レフカメラは皆同じと思っていた。当時も一眼レフカメラを持っていた。しかし10年ほど使っており画素数も低く、液晶パネルも小さく新しいカメラが欲しかった。
 
 数か月後、ある会合で立派なカメラを持つ人に会った。「良いカメラですねー」などと言うと、彼は「これはフルサイズのカメラで、戦場カメラマンがよく使うカメラなんですよー」と、延々とカメラとレンズ談義を聞くことになった。戦場カメラマンというと良くTVに出ている人を想像した。酒の力もあり「戦場カメラマンになりたい!」と思ってしまった。それはフルサイズの一眼レフが欲しいということなのだが…。
 
 しかし当時は、新しいカメラを購入すると画素数も上がり、パソコンの問題もあり、すぐには難しい。なんと言っても一番の問題は我が家の大蔵省であり、折衝はかなりの苦戦が予想された。そこで現在所有カメラのキャノンにターゲットを絞り、まずはレンズをそろえ、パワーアップを図り、来たるべきフルサイズ一眼レフ時代に備えるべく作戦を練った。その後、僕にとっては・・ちょっと良いレンズを買いそろえた。
 
 レンズはある。あとは本体だけ。時は来たのである。周りの堀を埋め固め、次はいよいよ本丸だぁ!フルサイズの環境は整った。昨年末、ついにフルサイズ本体、あの報道カメラマンが持つという一眼レフ本体をネットで注文。それまで少しづつ買い足したレンズもネットで購入している。思えば長い戦いだった。
 
 ついにその日は来た。カメラ本体が届いたのである。慎重にカメラを説明書を読み、いよいよ専用電池に充電・・。しかし充電されない。電話で問い合わせるも回復せず、交換となってしまった。
 
 一週間後、新しいカメラが来る。いよいよだ。今度は充電も上手くいった。世界最軽量フルサイズ一眼レフとはいえ、さすがにフルサイズ、重みが違う。レンズを装着。少しきつい感じがしたが、無事装着。伴侶を前に立たせ、少しゴマをすりながら、初めてのフルサイズ一眼レフカメラのシャッターを切った。音が違う。すると…。
 
 あれっ!1/8位しか写らない。。
 またメーカーに電話する。すると「EF-Sレンズはフルサイズカメラでは使えません」「・・・・・」「EF-SレンズはAPSカメラ専用ですから・・」などと、外国語と思うようなことを言う。 しばらく呆然とする。今までフルサイズ一眼レフに装着できないレンズを買いためていたのだ。このままではフルサイズカメラを持っていても一枚も写すことができない。
 
 この予想だしなかった状況に唖然とした。そしてまたレンズを購入することになってしまった。大蔵省の怒りは想像通りとなった。
 そのためフルサイズ一眼レフカメラなのに、今だレンズは1本だけ。それを補うため前のカメラも使っている。
 
 しかしこんな基本的なことを見誤った、報道カメラマンのカメラを持つ俺って…どうなんだろう?と思いつつ、 新たなる作戦を考える。
報道カメラマンの道はかなり険しく遠い・・・。