スローな旅にしてくれ

 寝る直前、少しだけ本を読む。読んでは休みを繰り返し、現在3冊たまっている。
 
 2週間ほど前、枕元に1冊の本を見つける。旅の本である。目を通すとなかなか面白い。その本、女房に話すと「知らない」という。自分で買った本を忘れるとは我女房殿かなり忙しい生活をしてると思いつつ・・「自分で買った本の内容を忘れるとはボケのはじまりじゃない?」などと言ってしまう。しかもかなり面白い本なのに、買っただけで読んでないとはどういうことだろう・・・。
 
 僕は旅が好きだが、なかなか行けないでいる。特にインドは何年も前から熱望している。そのあたりをこの本はくすぐる。海外でのエピソードをイラスト付で語りかけるのである。毎夜やっぱり旅は良いよな~明日の仕事を頑張ろう!・・というような生活を過している。
 しかし女房殿は読んでいないし、そもそも行きたい場所が違うのでこの本の会話が成り立たないのである。
 
 そうこうしている間に旅は佳境に入ってきたある日、娘が小生に言う。
「この前貸した・スローな旅にしてくれ・・面白かったでしょ?」
「えっ!あの本!!うん、面白いね」
近くにいる女房殿。
「やっぱりそんな事だと思ったわ。わたし滅茶苦茶言われたのよ!・・・」等々言われっ放し。
僕が娘から借りていたのを忘れていたのである。
 
 「それだけ仕事にのめりこめるのは我ながらたいしたものだ」・・などと交わそうとするが、なかなかそうは上手くはいかない。
 
・・・そして、また旅に出たいと思った。