地中生活

 野菜・果物を作りを始めて10数年。
屋上でのことなのでろくなものができない。しかし新鮮さは他を寄せ付けない。なにせ、上から取ってきてすぐ食べるのである。
時としてその美味に感嘆。自画自賛

 その種類は20種類近くになるのだが、果物のほとんどは近隣の鳥に食べられてしまう。
もちろん無農薬・有機肥料栽培であり、食の不安を抱く現代において、安心して食べられるものとして貴重な存在。鳥もそれを知っているのだろうか・・などとも思う。

 長年の無農薬栽培は様々な虫も寄って来る。
初夏においては僕が食うか、虫に食べられるかの壮絶な野菜分捕り合戦となる。
プロで野菜・果物作りを考えた場合、無農薬栽培はたいへんな苦労を伴うことが推測される。

 夏も過ぎ、その戦いも終わりをつげ、この時期は平安な日々を過ごしている。

 最近、屋上にコオロギが住み始める。

 夜、横になると鳴き声が聞こえる。なんとも風流なので窓を少し開けて寝るのだが、少々寒い。
上からのコオロギの鳴き声は地中にいる錯覚におちいり、いとおかしなのである。
コオロギも下からのイビキで、地中に怪物がいると思ってることだろう。

 秋の夜長、今夜も地中の夢をみることとします。